ニュージーランドでは放牧による牧草飼育が基本。離島である特徴を活かした意図的な「孤立」で安全を守っています。
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服部幸應 「食育コラム」 第10回 大人のための食育③グローバルな視点で食育を
近年生産者の意識が「売れるモノ」を作るのではなく、消費者にとって「必要なもの」を作る姿勢へと変わってきたという話を耳にするようになりました。ニュージーランド牧草牛の畜産の現場では常に国と生産者が一体となって意識を高く持つ努力をしています。特に完全放牧によって自然の牧草を食べて育つニュージーランド牧草牛は自然環境や地球資源を念頭において育てられているわけですから、生産者にも国を代表する産業である畜産に関する正しい知識を身につけてもらい、生産農場は常に適切な生産条件を備えているかどうかがチェックされ、ニュージーランドで生産される牧草飼育牛肉はその生産農場から加工工場までたどることのできるトレーサビリティシステムが導入されています。
米国、欧州はじめ世界中に広く牛肉輸出国として認知されているニュージーランドでは、牧畜人口も食肉産業従事人口も高く、産業としてはこれからも発展し続ける土台もあります。現に大学で畜産学を学び高度な知識や最先端の技術をもつ若者が、牧畜分野へ続々と進出し、ニュージーランド牧草牛は、生産量・輸出量ともに増加傾向にあるそうです。国内でみんなが好んで食べている食品だからこそ、胸を張って世界にそのおいしさと高い栄養価、健康志向などがアピールできる、生産者がすなわち良き消費者であるからこそ、安全意識や健康意識を持って「食べる人が望む」商品、安全で安心なニュージーランド牧草牛が生産できるのだといえます。ニュージーランドが、「次代を担う若い世代こそ自国が誇るニュージーランド牧草牛の良さを理解してもっと身近に感じて欲しい」と考え、政府も一体となって積極的な活動を行う根本には、輸出を主体とした畜産産業に携わるすべての人が、現在のみならず将来においても「良き消費者であり良き生産者」であり続けることを目指しているからに他なりません。
食育というのは、その表面だけではなくて精神的な面にまで及ぶものですから、大人は子供たちに世界的な食の現状、有り余って捨てる国もあれば、常に飢餓と隣り合わせの地域もあることをきちんと伝えなければなりません。愛知万博でケニアの環境局大臣が「もったいない」という言葉の意味がすばらしいと発言されていたことは皆さんもご存知でしょう。
そして私たちは1日に3度いただく食事に感謝し、その材料となった食べ物を作ってくれた生産者の人への感謝を忘れてはいけません。もちろん生産する側も常に、安全、安心、健康につながるようなものを生産しているのかどうかを真剣に自問せねばなりません。そのためには政府も消費者や生産者を常に教育・支援し、様々な角度から今後一層食育を進めていかなければならないでしょう。
服部幸應(はっとりゆきお)
(学)服部学園・服部栄養専門学校の理事長・校長/医学博士。
食育をテーマにした講演活動等に取り組み、内閣府「食育推進会議」、内閣官房「新健康フロンティア戦略本会議」委員、厚生労働省、農林水産省、文部科学省、東京都等の委員を務めるほか、(社)全国調理師養成施設協会会長などで広く活躍している。


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