余分な脂肪を混ぜないヘルシーなパティの香ばしさは牧草牛のヘルシーハンバーグ。
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服部幸應 「食育コラム」第8回 大人のための食育
先日、首都圏生まれの乳牛のこどもを北海道の牧場に「留学」させ成牛になるまで育成し、種付けをして出産前に返すという取り組みについての新聞記事を見ました。記事によると 都会の牧場は土地が狭く十分な育成スペースがないこと、その点北海道で育成された牛は、都会に戻ってきてからも食欲があり良い乳牛に育っていることなどが書かれていました。
この記事をみて私は、ニュージーランド牧草牛のことを思い出しました。このニュースリリースをお読みの皆様はすでにご存知のことではありますが、ニュージーランドでは、約99%が完全放牧で牧草だけで飼育されます。牛は実はとてもデリケートな動物で、飼育密度が過密になることや入れ替わり立ち代わり大勢の人がやってくることを嫌います。
放牧飼育のメリットは、牛にストレスを与えない、牛にとってきわめて自然な飼育環境で育成できることにあります。ニュージーランドでは「自然のサイクルを活かした長期展望を踏まえた畜産の実現」を、畜産業のあらゆる分野での共通目標として掲げています。牛がのんびりとストレスなく暮らせる環境と、安心で栄養豊富な「天然の」食物、つまり良質な牧草ですが、を提供することによって、健康で栄養豊富な牛肉をつくりあげる、またこのような牧畜を遠い未来でも続けていける「持続型農業」のための環境づくりを研究しています。ニュージーランドの畜産業が発展しているのは、日光が多い、雨が充分ある、牧草地があるという恵まれた環境に理由がありますが、それだけではなくニュージーランド政府や業界が積極的に協力しあって、研究開発に力を入れてきたからです。
ニュージーランドはいかに一生懸命努力をして、品質、安全性の面で素晴らしい評価を維持していくことが世界経済の中でいかに重要であるかということを十分に認識しています。こうした食材となるものの育成環境への理解を得ることは大人の食育に必要なことのひとつだと思うのです。大人がまず、自分たちの食卓にあがるものの産地や食料自給率、日本の食を支える海外の生産国の状況などを知ることは、単に安全な食材を選ぶというだけでなく、広く日本の食文化を知るうえで大切なことなのです。日本は自国だけで食糧をまかなえる国ではありません。それだけにニュージーランド牧草牛のような安全な食糧の輸入に努めることが重要です。
今、日本の食糧自給率はカロリーベースで40%、輸入が60%です。ドゴール大統領がかつて、「食糧自給率が100%ない国は独立国とは言えない。植民地と同じだ」と言ったんですよ。考えてみたら、40年前、日本の自給率は73%だったが、それが現在40%に落ちました。英国は46%しかなかったのが74%まできました。ドイツは68%だったのが91%まできて、アメリカは102%あったのが119%、フランスはドゴールの頃104%あったのが今130%です。
欧米先進国は、自給率を上げ自分たちの国を強くし安定させるということに力点を置いていますが、日本はそこを忘れたのです。だから、もう一度、そういう観点から見直す必要があるでしょう。大人が考えなければならない食育にはこうした部分もあると私は思っています。
服部幸應(はっとりゆきお)
(学)服部学園・服部栄養専門学校の理事長・校長/医学博士。
食育をテーマにした講演活動等に取り組み、内閣府「食育推進会議」、内閣官房「新健康フロンティア戦略本会議」委員、厚生労働省、農林水産省、文部科学省、東京都等の委員を務めるほか、(社)全国調理師養成施設協会会長などで広く活躍している。

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